乳がんの薬物療法(ホルモン療法)

2013年8月2日(金) Written by 高橋 義人

乳がんの治療に用いられる薬(抗がん剤)は、大きくホルモン療法、化学療法、分子標的療法の3種類に大別され、それぞれのがんの性質や病状によって使い分けられています。抗がん剤の副作用は薬の種類によって異なります。また副作用は治療を受ける人それぞれに出方の違いがあり、個人差があります。抗がん剤治療を受ける場合には、抗がん剤の目的、期待される治療効果、予想される副作用とその対策などについて十分な説明を受け、理解することが大切です。

ホルモン療法

約7割の乳がんはホルモン受容体を持っており、ホルモン受容体を有する乳がんは女性ホルモン(エストロゲン)の刺激ががんの増殖に影響しているとされます。手術で取った乳がん組織中のホルモン受容体(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体)を検査することにより、女性ホルモンに影響されやすい乳がんかそうでない乳がん化がある程度わかります。女性ホルモンに影響されやすい乳がんを「ホルモン感受性乳がん」、「ホルモン依存性乳がん」と呼び、ホルモン療法による治療効果が期待されます。

生理があって卵巣機能が活発な女性では、卵巣が女性ホルモンの主な供給源になります。また、女性は通常50歳前後を境に卵巣の働きが衰えることにより、生理が止まり「閉経」を迎えます。閉経後の女性では卵巣からの女性ホルモンの分泌は停止し、副腎皮質から分泌される男性ホルモンが原料となって、「アロマターゼ」と呼ばれる酵素の働きによって女性ホルモンがわずかに産生されます。閉経後の女性では、女性ホルモンのレベルは、閉経前に比べ100分の1程度に減少します。

ホルモン療法には抗エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤などがあります。乳がんの術後や転移性乳がんに用いられる「タモキシフェン」は代表的な抗エストロゲン剤であり、女性ホルモンのエストロゲン受容体への結合を阻害します。選択的アロマターゼ阻害剤は、閉経後の女性においてアロマターゼの働きを抑えて女性ホルモンの産生を抑えます。閉経前の場合、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑える黄体ホルモン分泌刺激ホルモン(LH-RH)製剤を使用することがあります。その他、プロゲステロン製剤などがあります。

ホルモン療法の副作用は、化学療法に比べて一般的に極めて軽いのが特徴ですが、タモキシフェンの長期使用者では子宮がんや血栓症のリスクが、選択的アロマターゼ阻害剤の使用者では骨粗鬆症のリスクが高まります。

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