乳がんの外科手術治療

2013年7月19日(金) Written by 高橋 義人

乳がんの治療には、外科手術・放射線治療・抗がん剤治療があります。外科手術と放射線治療は治療を行った部分にのみ効果が期待できる「局所療法」であり、抗がん剤治療は「全身療法」と位置付けられています。

外科手術

乳房にできたがんを切除するために行います。通常はがん組織を含めた周りの正常組織を同時に切除します。切除する範囲は乳房内でのがんの広がりによって決められます。通常、乳がんの切除と同時に、腋の下のリンパ節を含む腋の下の脂肪組織も切除します。これを「腋窩(えきか)リンパ節郭清」と呼びます。乳がんの手術には、次のような術式があります。

1.乳房のしこりを切除する手術

①腫瘍核出術:乳房のしこりだけを切除する手術です。吸引細胞診や針生検で術前にがんの診断がつかないときに行われることが多く、がんの治療としては一般的ではありません。

②乳房部分切除術:しこりを含めた乳房の一部分を切除する方法で、「乳房温存手術」と呼ばれます。病変の部位や広がりによって、乳頭を中心にした扇形に切除、あるいはがんの周囲に2cm程度の安全域をとって円形に切除します。しこりが大きい場合、乳がんが乳腺内で広がっているとき、乳腺内にしこりが複数ある場合には、原則として温存手術の適応にはなりません。通常手術後に放射線治療を行い、残された乳房の中での再発を防ぎます。

③単純乳房切除術:がんのできた側の乳房を全部切除し、腋窩リンパ節の切除を行わない場合をいいます。

④乳筋温存乳房切除術:乳房と腋窩リンパ節を切除します。場合によっては、胸の筋肉の一部を切り離すこともあります。この術式が、最も一般的な乳がんの手術方法です。

⑤乳筋合併乳房切除術(ハルステッド法):乳房と腋窩リンパ節だけでなく、乳腺の下にある大胸筋や小胸筋を切除します。かつてはこの手術方法が標準的手術方法として実施されてきましたが、現在ではがんが胸の筋肉に達している場合だけに行われます。

2.腋窩リンパ節に対する手術

①腋窩リンパ節郭清:通常、乳がんの切除と同時に、腋窩リンパ節を含む腋の下の脂肪細胞も切除します。これを「腋窩リンパ節郭清」と呼びますが、腋窩リンパ節郭清は乳がんの領域でのリンパ節再発を予防するだけでなく、再発の可能性を予測し、術後に抗がん剤治療が必要かどうかを検討する意味で非常に重要です。腋窩リンパ節郭清を行うと、手術をした側の胸にリンパ浮腫(むくみ)がでたり(頻度は10~20%程度)、肩の痛みや運動障害がおきたりすることがあります。

②センチネルリンパ節生検:センチネルリンパ節とは、乳がんからこぼれ落ちたがん細胞が最初に到達する乳腺の領域リンパ節のことを指します。多くの場合は腋窩リンパ節がセンチネルリンパ節になります。センチネルリンパ節に転移がない時、多くの場合、他の腋窩リンパ節には転移がありません。センチネルリンパ節生検は術前検査(触診・超音波など)で腋窩リンパ節転移がないと考えられた場合、腋窩リンパ節郭清を行わなくてもより可能性がある患者さんを選ぶ手段として使用されています。

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